
韓国の巫堂(ムーダン)とは、医学では治らない病気を治すときや、家でよくないことが起こったときに悪霊を祓うときや、先祖供養をするとき、また豊漁や豊饒を祈るときなどに儀式を司る人(ほとんどが女性)のことを言いう。楽士(男性が多い)がチャングやケンガリ(鉦)、チン(銅鑼)などの楽器を打ち鳴らす中、巫女が激しく踊ったり歌ったりして、トランス状態になっていき霊と交渉し、依頼者に霊を媒介してお告げやアドバイスをする、という形式をとるのが、一般的な巫堂のイメージでもある。
巫堂は青森県の恐山(おそれざん)のイタコや、沖縄のユタなどと比較されることも多いと言う。世界各地に存在する、霊的なものとの交渉儀式(シャーマニズム)であるが、巫堂の儀式では、念仏を唱えたり道教を思い出させる祭壇を構えたりするように、仏教や道教の影響を多く受けていると言う。しかし巫堂の歴史はそれらの宗教よりももっと古く、かつては王朝の儀式にも使われていたと言う説もある。中には、国家無形文化財に指定されている巫堂の儀式もある。韓国の小説や映画、在日文学でもよく出てくる巫堂の儀式とは。
韓国の巫堂の人々には、代々巫堂の血を受け継いできた世襲巫と、ある日突然神がかりの状態になってしまい、それから修行して巫堂になった降神巫の2種類がいる。
病気治癒や悪霊退散、先祖供養など個人的な儀式の場合、巫堂の家や依頼者の家、悪霊のいる場所、もしくは山の中にある施設(巫堂村)などで行うのが一般的だ。
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