



ハワイを代表する曲と言えば「アロハ・オエ」である。
ハワイ王朝第8代リリウオカラニ女王が作ったとされる。
しかしこの曲には諸説あってどのような状況で作られたのか大きな謎が
いくつかある。
別れの曲には違いないと思うが、マスタークムフラの「ジョージ・ナオペ」
は「愛情表現の歌」としている。
この中で比較的正しいとされる逸話がある。
暦史家のラヒラヒ・ウェッブ(Lahilahi Webb)氏によれば、1878年頃に
リリウオカラニはお供を引き連れてオアフ島のマウナウィリ(Maunawili)の
牧場を訪れていたという。
そこは宮廷の執事ボイド大佐(Colonel James Boyd)の実家だった。
ボイド大佐は、生まれ故郷のマウナウィリで懐かしい友人・知人との再会
を果たすことができた。
楽しいひと時も束の間、やがてホノルルへ帰る時がやって来た。
馬を走らせ始めたリリウオカラニは、カネオヘ湾(Kāne'ohe Bay)の美しい
風景をもう一度眺めておこうと後ろを振り返った。その時、彼女の目に
映ったものは、別れを惜しむボイド大佐とマウナウィリの可愛い少女との
何とも切ない別れの抱擁だった。
ヌアヌ・パリの風の強い急な山道を登りながら、リリウオカラニは先程の
切ない別れの様子を思い巡らせた。強いインスピレーションを受けた彼女は、
馬上でメロディーを何度も口ずさみながら、思い浮かんだ歌詞を一つ一つ
メロディーに当てはめていった。山を下る頃には、すべての歌はを完成して
いたという。
「さようなら貴方 さようなら貴方 別れの前に優しい抱擁を また会えるその時まで」
そして次のような詩が出来上がったのだ。
ALOHA OE
雨が誇らしげに尾根を横切り
森の中を通り抜けていく
未だ開かぬ蕾を探しているかのように
山あいに咲くレフアの花よ
あなたにアロハ あなたにアロハ
暗い場所に佇む心優しき去っていく前に
もう一度あなたを抱きしめよう
また会えるその時まで
懐かしく暖かい思い出が胸をよぎる
ついこの間のことのように
愛する人よ 我が愛しき人よ
真心は決して引き裂くことはできない
私はあなたの素晴らしさをよく知っている
マウナヴィリに静かに咲くバラの花
そこにいる啼かない鳥たち
そして暗い場所にいる美しい人
あなたにアロハ あなたにアロハ
暗い場所に佇む心優しき人
去っていく前に
もう一度あなたを抱きしめよう
また会えるその時まで
現在ワシントンプレイスにあるミュージアムには彼女が愛用した
ハワイコア100%で作ったグランドピアノがさん然と輝いている。
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