














鍵田真由美(41)とパートナーの佐藤浩希(34)は、今や日本のフラメンコ舞踊界の
トップスターだ。スペインでは「マミ・イ・ヒロ(マミ&ヒロ)」の名前で知られ、数々の賞を
受賞し、東京とフラメンコの聖地ヘレスの間を年に3回往復する。
2004年には近松門左衛門の原作を基にした『FLAMENCO曽根崎心中』で、フェス
ティバル・デ・ヘレスにスペイン国外の舞踏団として初めて正式参加した。ディアリオ・
デ・ヘレス紙でデービッド・フェルナンデスが次のように評している。
「日本版『ロミオとジュリエット』を独創性あふれるスタイルで、コンプレックスをまったく
感じさせずに舞った」
スペインでは朝も昼も夜も踊り続けた。「夜になると顔が半分麻痺していた。ベッドに倒れ
込んでどこがいけないのだろうと悩み、朝になるとまた踊っていた」
そんな鍵田の踊りに出会ったのが佐藤だ。介護福祉士の勉強をしていた佐藤は92年に
友人たちに連れられ、初めてフラメンコのクラブをのぞいた。鍵田は6歳からモダンダンス
を習っていたが、佐藤はダンスに縁がなかった。
「すごい衝撃だった」と、佐藤は言う。「これこそ自分の探していたものだと思った」。彼は
鍵田のスタジオのドアをたたき、4年後の96年に河上鈴子スペイン舞踊新人賞を受賞した。
現在、2人はヘレスに家を持ち、東京・渋谷の近くにもフラメンコスタジオ「アルテ・イ・ソレラ
(芸術と伝統)」を構える。心の本拠地はあくまでもスペインだ。
「2人の東洋人がフラメンコを選んだことが、まちがっていなかったと証明したい」と言う鍵田は、
いったん舞台を降りるとまじめでもの静かに見える。一方、「フラメンコは人生」と言いきる佐藤は、
口調も情熱的だ。「私たちでこぼこカップルでしょう!」と鍵田は笑う。
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