




















南アフリカのケープタウン、1994年にアパルトヘイト
(人種隔離政策)が撤廃されたが、依然として黒人への差別は続いている。
タウンシップと呼ばれている貧困地区へ集められているのだ。
ここは失業率は80%、犯罪は日常茶飯事でもある。粗末なバラックには
300世帯に共同トイレが一つしかない劣悪な環境だ。
皆んなここから抜け出たいと考えているのだ。
ここへ白人が行こうものなら生きては帰ってこれないと言うジンクスまである。
しかし最近は黒人がオペラ歌手へチャレンジしている。もともとオペラは白人
のものと相場が決まっていたが最近はオペラ学校への入学も許されている。
黒人の場合、声質も多少の違いはあるが一般的に黒人の声はハスキーだ。
しかし、何といってもルックスだと言う。オペラの役柄、殊に主役は皆「白人」
なのだから、有色人種が「白人」を演じることに視覚上の違和感がある。
有名な黒人歌手たちも、どちらかといえばレコーディングで名を馳せていた。
(顔が見えない為、ルクスは関係ないのだ)
海外の歌劇場の公演の「カルメン」で、日本人が演じたミカエラ役では不自然だと
言うことで不評であったと言う。そんな中で
黒人居住区の合唱団で歌声を見いだされたフィキレ(36歳)は7年前、黒人
オペラ歌手を養成するために設立された「ケープタウン・オペラ・スタジオ」
のメンバーに選ばれた。たゆまぬ努力で才能を開花させているフィキレは、
今も時折、黒人居住区を訪れ、子どもたちに頑張ればいつか貧しい生活から抜け
出すことができると語りかける。やがてフィキレはニューヨークのメトロポリタン・
オペラのオーディションに合格。夢の舞台にまた一歩近づいた。また、
黒人居住区で貧しい暮らしをしていたタムサンカは、歌への人並み外れた情熱と
才能に恵まれていた。家族を養えるようなオペラ歌手になりたいと、オーディション
に挑戦する。更に高校生のマンデラキは子どもを学校に送るために苦労している
母を手伝い、兄弟の子守や食事の準備をしながら、いつかはオペラ歌手になりたい
と練習に励む。
人種隔離政策には、反対してきたイタリア出身のアンジェロ・ゴバードは、教鞭を取って
いるケープタウン大学のオペラコースに、黒人も奨学金で授業を受けられるようにした。
そうした街では、白人の音楽を歌うなんて、もっての他だった。 石を投げられたことも
あったという。 しかし今は違う黒人の間にも確実にオペラの理解が広まっているのだ。
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