








ニコラ・コンテ(Nicola Conte)
イタリア生まれ。ジャズ・ギタリスト。50~60年代のモダン・ジャズに対する深い造詣を
バックグラウンドに、自分の思い描くスタイリッシュなサウンドを追求しつづけている
クラブ・ジャズ界のマエストロ。
彼は、ミュージシャンであるが、コンポーザー且つ、DJとしての資質も強い。
さらに「ヨーロピアン・ニュー・ジャズのマエストロ」だとか「クラブ・ジャズ界の貴公子」とか、
いまだにそうしたお洒落さ、スタイリッシュさを売りとするキャッチをさまざまな媒体で見か
けることがある。ただ、Nicola Conte自身ははっきりと「自分のやっていることはクラブ・
ジャズではない」と宣言しており、2008年の『Rituals』はヨーロッパの白人がやったジ
ャズではなく、アフロ・アメリカンによるブラック・ジャズが持つ色合いを打ち出していた。
Nicola Conteは外見のソフトなイメージとは裏腹に、音楽に対してはとても生真面目で、
また物事もストイックに捉えようとする向きがある。日本で「マエストロ」という言葉が使われ
る場合は妙に軽薄なものを感じてしまうのだが、そもそもの語源では芸術家と共に職人を指
すことが多い。イタリアには衣食住などさまざまな分野に職人がおり、彼らの地道な活動に
よってイタリアの伝統文化は支えられ、継承されている。同じく日本にも伝統工芸をはじめ
いろいろな職人がいるのだが、Nicola Conteが音楽に取り組む姿勢を見ていると、
こうした職人という言葉が浮かんでくる。少なくとも芸能人と勘違いしたようなミュージシャン、
業界に顔がきくプロデューサーなどとは一線を画した人物である。
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