
















ハワイ大学の近くに、「ハワイ日本文化センター(Japanese Cultural Center of
Hawaii)」がある。一階には「おかげさまで(I am what I am because of you)」
というタイトルの付いた日系移民の歴史の常設展示がされており、その他にも武道場や
バンケット・ホールなども備えている。お正月やひな祭り、こどもの日などにはイベントが
開催され、ちょっとしたお祭りのようになる。
実は、このハワイ日本文化センター、昨年から今年にかけて、その存続が危ぶまれていた。
900万ドル(約11億7千万円)という巨額の債務を抱えており、主要債権者である4銀行の
グループが、センターの敷地建物に抵当権を設定していたのだ。
これに対し、「ハワイ日本文化センターを救う委員会」が組織され、寄付を広く呼びかけたと
ころ、またたくまに巨額の募金が集まり、500万ドルの寄付が確約された。これを受け、
その後募金は目標額近くの840万ドルまで集まり、抵当権執行は何とか回避されたのである。
さとうきび農場での労働者として移民してきた彼らの「義理」や「我慢」、「恥、誇り」といった
日本的な価値観が、今日の日系移民の成功につながったとして、入口に置かれた石柱にそ
れらの言葉が刻まれている。
約100年前に、このハワイにやって来た移民達が、当時働いていたプランテーションや住宅の
再現を見ることが出来る。
悪夢は、日米開戦と共にやってくる。しかし、2世達による日系人部隊、第100大隊や第442連
隊の活躍によって日系米国人は米国に忠誠を示し、戦後は日系人の地位をも向上させる。
これらの日系人部隊は死傷率も断トツであったが、苦境をバネにして飛躍していく姿が描かれ
ている。初期の移民や日米開戦など、色々と困難もあったが、それを乗り越えていく様子は、
一種のサクセス・ストーリーのようでもある。
その結果、現在のハワイ社会において、日系人は普通の地位を手に入れている。
そうなった以上、3世・4世といった若い世代がそれほど「日本」というものにこだわらなくなって
きている。
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