




ハワイアンは弦楽器がメインであるがその神様的存在を忘れてはならない。
Roy Smeck(ロイ・スメック1900-1994)である。
「世界初の映画音楽で使われた楽器は・・・、ハーモニカとウクレレだった」
この1926年のワーナーブラザースの映画「ドン・ファン」は、Vitaphone と呼ばれる
装置で初の映像と音声のシンクロを実現していたらしく、音楽を担当したのが
「弦楽器の魔術師」と呼ばれるロイ・スメック と言われる。
父親から教わった、たった三つのコードが彼の音楽人生の始まりだった。その後、
彼は独学で各種ギター、バンジョー、マンドリン、ウクレレ等のあらゆる弦楽器
(中には自家製のものも!!)をマスターし、若くして娯楽音楽の大家となる。前述の
とおり映画音楽では数々のイノベーター的な役割を果たし、多くのジャズ
ミュージシャンとの共演でたくさんのレコードも残した。後年はテナーバンジョーの奏者、
インストラクターとして第一人者的な地位を築き、1994年にニューヨークで亡くなる
直前まで音楽家でありつづけた。(享年94歳)
彼のユニークな側面は、ソル・ホーピーに影響されたと言われる、スライド奏法を用いた
ギター演奏で聴かれるハワイアンミュージックである。現在ではリラクゼーションの部分
が強調されすぎているきらいのあるハワイ音楽だが、彼 の演奏するそれはいずれも
聴衆を突き動かすような、アップテンポで狂気すら感じさせる自由奔放なものである。
当時の大衆音楽の役割は「娯楽」を提供することであった故の、その第一線で鍛えられた
「芸」の凄みとでも言ったら良いだろうか。表現とか芸術とかゴタゴタぬかす前に、
まず一級の芸人であることの素晴らしさ、潔さを、頭でっかちの私に突きつける。
戦前ギター音楽の金字塔いわば神様と言われるゆえんである。
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